『火垂るの墓』をやっている。
僕はこの映画を観たことがない。
基本的に哀しい話は苦手だし
それを平気で見ることの出来る人も
あまり信用できない。
哀しい話を何の気負いもなく観ることが出来て
何の疑いもなく泣くことが出来て
それを観て心動かされたと
平気で言いふらせるという感覚を
どうしても持つことが出来ないのだ。
そういう意味ではこの映画は特殊だった。
悲惨な話、なのに堪らなく可笑しい。
それは「他人の不幸は云々」というモノとは別で
突き抜けた不幸せを前に
もう笑うしかないという
哀しい前向きさが、ある。
絢爛な映像が、
色彩豊かな音楽が、
主人公の愚かさが、
「唯不幸なだけのお話」から
かなしみを緩和させて
だから、よけいに打ちひしがれる。
この映画の一番の救いは
瑛太演じる松子の甥の存在だろう。
この「不幸なこともない人生」を歩む男は
多分、本当の意味で「しあわせ」を知らない。
顔も知らぬ叔母の凄惨な人生に彼が見たものは、
きっと「本当に不幸せ」であったものだけが知る
真の幸福であっただろう。
終盤の、彼の叫び。
この作品の中で最も希望に満ちたものであったと感じた。
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